定期テストや高校入試にも役立つ中学歴史の時代別まとめ『江戸時代幕末』
2024/09/11
中学生にとって、社会の歴史は重要教科の一つです。歴史は覚えることも多いので、各時代別に時代の流れや特徴を押さえることが必要です。この記事では数回にわたって、各時代別の概要やキーワード・キーパーソンなどを紹介し、それぞれの時代がどんな特徴を持つのかを把握してもらいたいと思います。第7回目は江戸時代幕末の内容となります。どうぞご覧ください !
目次
ペリーの来航と開国
19世紀に、各国の外国船が日本にやってくるようになり、1853年、ペリー率いるアメリカの軍艦が浦賀に上陸しました。人々は、真っ黒く巨大な戦艦、噴き上げる蒸気、威嚇のための砲撃を目の当たりにして、江戸が侵略される危機感を覚えます。ペリーは大統領の国書を幕府に差し出し、開国を迫りました。幕府は朝廷や大名と協議(きょうぎ)し、翌年の1854年に日米和親条約を結び、下田と函館を開港しました。しかし、日本に関税自主権がないなど不平等な内容であったこの条約は、長らく日本を苦しめることになります。アメリカはさらに貿易を行なうために、日米修好通商条約を結ぶことを求めて、2港の他に横浜、長崎、新潟、神戸の5港を開港させ、幕府に自由貿易を認めさせました。また幕府は同じ条約をオランダ、ロシア、イギリス、フランスとも結び、これを「安政の五カ国条約」と言います。しかしこの条約は日本に不利な内容を含んだ不平等条約でした。自由貿易によって経済は大きく変わり、金銀の交換比率がちがっていたことで、大量の金貨や銀貨が流出しました。こうしてペリー来航は、200年以上に及ぶ鎖国を解き、江戸幕府が崩壊する呼び水となったのです。
尊王攘夷運動
幕末に外国船の来航が多くなり鎖国の維持が危うくなったとき、幕府が朝廷の許可を得ないまま条約を結んだことは、武士や民衆に大きな影響を与え幕府に反対する尊王攘夷運動(そんのうじょういうんどう)が盛んになりました。
そんな中で大老の井伊直弼(いいなおすけ)は、幕府に反対した大名や武士たちを処罰しました(安政の大獄〈あんせいのたいごく〉)。しかしこれはかえって運動を激化させる結果となってしまい、その後直弼も1860年に江戸城の門外で暗殺されました(桜田門外の変〈さくらだもんがいのへん〉)。幕府は公武合体策として朝廷との融和(ゆうわ)をはかりました。
尊王攘夷運動を進める長州藩は、朝廷を動かして幕府に攘夷を約束させましたが、天皇や薩摩藩の協力を得て、幕府は京都から長州藩士を追放しました。長州藩の実権をにぎった桂小五郎(かつらこごろう=木戸孝允〈きどたかよし〉)と、薩摩藩の実権をにぎっていた西郷隆盛(さいごうたかもり)、大久保利通(おおくぼとしみち)は、坂本龍馬(さかもとりょうま)の仲立ちで幕府をたおす考えが同じであることを確認し、薩長同盟を結びました。こうして幕末日本の薩摩と長州という二大地方勢力を中心として諸藩を糾合しつつ明治維新へと向かっていくこととなりました。
大政奉還
1867年(慶応3年)1月、15代将軍に就任した「徳川慶喜」(とくがわよしのぶ)は、フランスの援助を受けて幕政の立て直しを図り、政権を朝廷に返す「大政奉還(たいせいほうかん)」を行いました。大政奉還の目的は、表向きは天皇を中心とした政治に戻すことでしたが、幕府側には徳川家の存続という目的も有していました。大政奉還が実現される直前、「岩倉具視」(いわくらともみ)ら倒幕派は「明治天皇」より倒幕の密勅を受け取っており、それを知った土佐藩が徳川慶喜へ政権の返上を勧めたとされます。こうして岩倉らは大政奉還の奇策に対抗するべく朝廷を動かして王政復古の大号令を発しました。
旧幕府軍は、新政府軍の圧力的な態度に対して武力で抵抗することを決意し、1868年(慶応4年・明治元年)に「戊辰戦争」(ぼしんせんそう)が勃発します。旧幕府軍と新政府軍の戦いは1年以上に及びましたが、「鳥羽・伏見の戦い」より戦争がはじまってから約4ヵ月後には、新政府軍は、江戸城の明けわたしを行ない、旧幕府軍を北海道の函館まで追いつめて降伏させました。これにより260年あまり続いた江戸幕府が滅亡しました。
江戸時代 幕末のキーパーソン・キーワード
【キーパーソン】
ペリー
アメリカの提督で、日本に開国を迫った。
井伊直弼
大老で、尊王攘夷運動で幕府に反対する大名や武士を処罰したが、桜田門外の変で暗殺された。
桂小五郎(木戸孝允)
長州藩の実権をにぎり、幕府をたおして明治維新を実現させた中の一人で、明治新政府でも重要な役職に就いた。
西郷隆盛
薩摩藩の指導者として、薩英戦争を指揮したり、薩長同盟を結ぶなど幕末から明治にかけて重要な役割を担った。
大久保利通
西郷隆盛とともに、薩摩藩の指導者として幕末から明治にかけて活躍した。明治維新後は欧米に渡り、殖産興業に努めた。
坂本龍馬
土佐藩の武士で、薩長同盟の仲立ちをするなど、倒幕への動きを支えた。
徳川慶喜
徳川家最後の第15代将軍で、大政奉還を行ない、政権を朝廷に返還した。
岩倉具視
公家の出身で、明治新政府では右大臣を務め、岩倉使節団として欧米に渡った。
【キーワード】
尊王攘夷運動
幕府を倒して外国の勢力を追い払うことで、天皇中心の政治への転換を呼びかけた運動。
安政の大獄
尊王攘夷運動で、吉田松陰など幕府に反対した大名や武士を大老の井伊直弼が処罰した。
大政奉還
第15代将軍徳川慶喜が政権を朝廷に返還したこと。これにより江戸幕府がほろびた。
王政復古の大号令
天皇中心の政治にもどすことを宣言し、新政府の成立を発表した。同時に徳川慶喜の政治的影響力をおさえた。
戊辰戦争
新政府に反対する旧幕府軍は、鳥羽・伏見の戦いに敗れた後、東北・北海道まで逃げ、函館の五稜郭(ごりょうかく)に立てこもるが、新政府軍に降伏させられた。
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